タイで冷蔵・冷凍輸送の物流会社を選ぶ際、「冷蔵・冷凍対応しています」という回答だけで判断すると、実際の運用で品質トラブルが発生するケースが多くあります。タイでは物流会社ごとの品質差が大きく、同じ「冷蔵対応」でも実態は大きく異なります。このページでは、選定時に確認すべき5つのポイントを整理します。
日本の物流では、物流会社に依頼すれば一定の品質が担保されることが多い。しかしタイでは以下の理由から、物流会社によって品質差が非常に大きくなります。
これらの差は見積書や営業トークからは見えません。具体的な確認項目を事前に整理して臨むことが重要です。
日本の物流では、物流会社に依頼すれば一定の品質が担保されることが多い。しかしタイでは以下の理由から、物流会社によって品質差が非常に大きくなります。
■ 「冷蔵対応」の定義が会社ごとに異なる
内容: 物流会社によって管理温度の基準(例えば0〜5℃なのか、10℃以下なのか)が統一されていない。
■ ドライバーの教育レベルに差がある
内容: 温度管理の重要性を正しく理解しておらず、納品時に荷台のドアを開けっ放しにするなど、不適切な扱いをするドライバーが存在する。
■ 設備の維持管理水準が異なる
内容: 車両への温度ロガーの未搭載や、冷却装置・パッキンの劣化などの不具合がメンテナンスされずに放置されている。
■ 渋滞・荷待ちへの対応力が異なる
内容: タイ特有の激しい渋滞や店舗前での待機時間を想定した、現実的なルート設計や配送計画ができていない会社がある。
■ 倉庫と配送の連携度が異なる
内容: 倉庫から車両への積み込み環境が外気にさらされていたり、出発タイミングの管理が甘く荷受け前に商品が温まってしまうなど、連携が不十分な会社がある。
これらの差は見積書や営業トークからは見えません。具体的な確認項目を事前に整理して臨むことが重要です。
「冷蔵対応」「冷凍対応」という言葉だけでは不十分です。以下を数値で確認してください。
確認すべき内容:
「冷蔵」として管理している温度帯は何℃から何℃か
チルド(0〜5℃)と一般冷蔵(5〜10℃)を区別して管理できるか
冷凍(−18℃以下)を安定維持できるか
温度逸脱の基準(何℃を超えたら逸脱とみなすか)を定めているか
なぜ重要か: タイでは「冷蔵対応」と言っていても実際の管理温度が8〜12℃という会社が存在します。チルド帯(0〜5℃)が必要な生鮮食品・乳製品・デザートを扱う場合、この確認を怠ると運用開始後に品質トラブルが発生します。
タイでは納品先での荷待ちが頻繁に発生します。「時間指定で納品してほしい」という要件は、物流会社側に相応の運用設計がなければ実現できません。
確認すべき内容:
渋滞を前提とした配送スケジュール設計をしているか
荷待ちが発生した場合の対応方針・連絡体制はあるか
納品時間の許容誤差をどう設定しているか
遅延が発生した場合、リアルタイムで状況を報告できるか
よくある失敗: 「10時から11時の間に納品」という条件を口頭で伝えただけで契約したところ、渋滞を理由に毎回13時以降の納品になり、店舗の仕込みに影響が出たケースがあります。時間指定の条件は契約書に明記し、遅延時の対応を事前に合意しておくことが不可欠です。
複数店舗への配送が必要な場合、Multi-drop配送の実績と運用設計能力を必ず確認してください。
確認すべき内容:
冷蔵・冷凍でのMulti-drop配送実績があるか(何店舗・どのエリア)
1台あたりの店舗数上限をどのように設定しているか
配送順の設計(温度管理上の優先順位)はどう考えているか
倉庫での積み込み順序とルート設計が連動しているか
Multi-drop配送の詳細についてはこちらのページをご参照ください。
温度ロガーによる配送記録は、品質管理の基本です。これを標準で提供できない物流会社は選定から外すことを推奨します。
確認すべき内容:
全車両に温度ロガー(記録装置)が搭載されているか
配送ごとの温度記録データを顧客に提供できるか
温度逸脱が発生した場合、即時報告・原因報告ができるか
日本本社への報告に必要なレポート形式に対応できるか
なぜ重要か: 温度記録がなければ、品質トラブルが発生した際に「いつ・どこで・なぜ逸脱したか」の追跡ができません。また日系企業では、日本本社への品質報告のために温度記録の提出が必要なケースが多くあります。
冷蔵・冷凍物流で品質が安定しない原因の多くは、倉庫と配送の「つなぎ目」にあります。一体で管理できる物流会社を選ぶことが、品質安定の最短経路です。
確認すべき内容:
冷凍・冷蔵倉庫と配送を同じ会社で管理できるか
倉庫から荷台への積み込みが温度管理された環境で行われているか
出荷タイミングと配送出発が連動する仕組みがあるか
トラブル発生時の責任が一社に集約されているか
一括委託のメリットと注意点の詳細はこちらのページをご参照ください。
物流会社の選定を始める前に、以下を自社で整理してください。条件が曖昧なまま複数社に声をかけても、正しい比較ができません。
整理すべき条件:
必要な温度帯(冷凍・チルド・冷蔵・定温)
配送先の数・エリア・納品時間指定の有無
倉庫保管の要否と保管量の目安
温度記録・報告書の要件
日本語対応・日本本社への報告対応の要否
条件整理の段階からご相談いただければ、MONでは物流設計の初期検討もサポートします。