タイで食品物流を検討する際、多くの日本企業が最初に知りたいのが「どの程度のコストがかかるのか」という点です。しかし、コールドチェーン物流のコストは条件によって大きく変わるため、「一律いくら」という答えは存在しません。このページでは、コスト構造の全体像と、条件別の費用目安を整理します。
タイのコールドチェーン物流コストは、大きく4つの要素で構成されます。
日本企業が見落としやすいのは④の付帯費用です。 タイの見積書には待機料・時間外料金・再配達料が含まれていないことが多く、実際の運用でコストが膨らむケースがあります。必ず「何が基本料金に含まれているか」を確認してください。
以下は一般的な目安です。実際の費用は倉庫の立地・設備・契約量によって変わります。
※具体的な金額は取り扱い量・契約条件により大きく異なります。目安として「冷凍倉庫は常温の数倍かかる」と認識してください。正確な費用は個別見積を取ることを推奨します。
コストに影響する主な条件:
パレット保管かラック保管か最低保管量の設定があるか輸入食材の場合、港からの搬入費が別途かかるか入出庫の頻度(頻繁な出し入れは作業費が増える)
配送費は「何台のトラックで・何店舗に・どの距離を配送するか」で大きく変わります。
タイの冷蔵・冷凍配送の主な課金方式:
■ 車両チャーター(1台/日)
内容: トラック1台を1日単位で借り切る
向いているケース: 配送先が多い・ルートが固定
■ ドロップ数課金
内容: 1納品先ごとに課金
向いているケース: 配送先が少ない・スポット利用
■ 混載(LTL)
内容: 他社荷物と積み合わせ
向いているケース: 小ロット・コスト重視
バンコク市内のMulti-drop冷蔵配送(参考):
1台のトラックで5〜15店舗に配送する場合、車両・燃料・ドライバー・冷却維持のコストが合算されます。バンコクの渋滞により1日に回れる店舗数は限られるため、配送効率がコストに直結します。
常温配送と比較した場合のコスト増加要因:
冷凍・冷蔵車両の購入費用(通常車の1.5〜2倍程度)
燃料費(冷却装置の稼働分が上乗せ)
待機中の温度維持コスト
ドライバー+アシスタントの2名乗車による人件費増
日本での物流コスト感覚で試算すると、タイでは想定以上に費用がかかるケースがあります。以下がその主な理由です。
① バンコクの交通渋滞 1台のトラックが1日に配送できる店舗数が、渋滞によって大幅に制限されます。朝の納品時間指定がある外食チェーンへの配送では、渋滞を避けるための深夜・早朝出発が必要になることもあり、ドライバーコストが上昇します。
② 冷凍・冷蔵対応車両の不足 タイ国内で冷凍・冷蔵トラックを安定的に確保できる物流会社は限られています。需要が高まるシーズン(年末年始・ソンクラン前後)には車両確保が難しくなるケースがあります。
③ 小ロット対応のコスト増 日本の物流では当たり前の「小口混載」が、タイのコールドチェーンでは対応できる会社が少ない。小ロットでも車両をチャーターせざるを得ない状況になると、1配送あたりの単価が高くなります。
④ 倉庫と配送の二重コスト 倉庫業者と配送業者が分かれている場合、それぞれの管理費・中間マージンが発生します。一体で管理できるパートナーを選ぶことでこのコストを抑えられます。
タイの物流会社から見積を取る際、以下の点を必ず確認してください。金額だけで比較すると、後から追加費用が発生するケースが多いためです。
見積書で確認すべき項目:
コストを下げることと品質を維持することはトレードオフになる部分があります。以下の順序でアプローチすることを推奨します。
自社の物流条件を先に整理する(温度帯・配送先数・頻度・ロットサイズ)
複数社から見積を取り、条件を統一して比較する
倉庫と配送を一体で管理できる会社を優先的に検討する
初期は小規模で始め、実績を確認してから規模を拡大する
コスト削減だけを優先して物流会社を選んだ結果、温度逸脱・納品遅延・クレーム対応コストが発生し、総合的なコストが増加するケースは少なくありません。
タイのコールドチェーン物流コストは、温度帯・配送先・ロットサイズ・倉庫の有無によって大きく変わります。「いくらかかるか」を知るためには、まず自社の物流条件を明確にすることが出発点です。
条件整理の段階からご相談いただければ、MONでは物流設計の初期検討もサポートします。